診療支援
治療

乳児健診(3,6,9か月)
infant health checkup
宮奈 香
(日本赤十字社医療センター小児科)

 乳幼児健診は健康状況の把握,支援者との出会いの場,多職種が連携した保健指導による支援などを目的として行われている.対象月齢は市町村によって異なるが,東京都では3~4か月,6~7か月,9~10か月でおおむね行われている.

A.粗大運動の発達

 新生児期は屈筋優位であるが1~3か月にかけて徐々に伸筋が発達し,反ることができるようになる.これにより2か月頃には腹臥位で頭部を少し挙上できるようになり,3~4か月で頸定する.頸定は3か月で7割程度,4か月で9割程度の児が獲得する.4~6か月では腹臥位で両手に体重をかけて腕を伸ばし,背中を反らせることができるようになる.この動きがずりばいへつながり,7~9か月にハイハイができるようになる.

 これに伴い5か月頃からは立ち直り反射がみられるようになり,仰臥位で頭部を他動的に回旋させると,肩から下が棒のように回転するようになる.この回転は徐々に体の分節(肩,腰など)ごとに可能になり,寝返りができるようになる.

 7~9か月では平衡反応が発達し,視性立ち直り,横のパラシュート反射が出現する.これによって安定した坐位保持が可能になり,坐位で手を自由に使えるようになる.坐位保持は8か月で9割程度の児が獲得する.1歳頃には独歩が可能になるが,1歳0か月での獲得は半数程度であり,1歳3か月頃に9割の児が獲得する.

 上肢を引き起こした際の姿勢では,3~4か月では上肢は伸展,下肢は軽度屈曲し,引き起こし始めには軽度のhead lagがあるが,約45度引き起こされたところで頸と体幹が平行になる.5~6か月頃には上下肢とも軽度屈曲し,引き起こし始めから頸と体幹が平行になる.8か月頃には上肢を屈曲し,下肢を伸展挙上するようになる.

B.手指の運動の発達,精神発達

 新生児は把握反射があるため手は握られたままであり,目の焦点もはっきりとは合わない.2か月頃から固視,輻輳,

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