診療支援
治療

1歳6か月児健診
medical examination at 18 months of age
蜂谷明子
(蜂谷医院・副院長(岐阜))

A.健診ポイント

 1歳6か月児健康診査と3歳児健診は「母子保健法」によって規定されている法定健診である.さらに「健やか親子21(第2次)」は各年齢における「母子保健課調査」で全国共通アンケート項目を提示している.

 1歳半は乳児期の間脳支配から幼児期の大脳皮質支配に移行し,歩行,有意語の始まり,補完食完成,萌歯の増加など,発育発達において重要な時期となる.それに応じて育児ポイントや養育者の心配も変化する時期である.健診は個別と集団,地域によって異なるがここでは主に集団健診として述べる.

 集団健診では役割分担があるので,歯科・眼科・栄養・生活習慣など健診と指導の内容の流れを把握しておき,効率よく健診を進めるようにしたい.保健師によりプロットされた成長曲線や生活状況,アンケート結果などが綴じられた母子管理表などを資料として,身体的診察とともに生活リズムや母子相互関係,遊びや食生活状況など丁寧な情報収集と親子への観察を進めていく.

B.見るべき所見

 未歩行は,まだすべてに受診を勧めなくてもよい.まずはお座り・ハイハイなど今までの運動発達状況を聴取し丁寧に現状を確認する.伝い歩きができていれば1か月後再診とする.太り過ぎも時折あるので体重や足底の肉付きも再確認する.1歳児はまだ人見知りも多く,経験の少ない場での見通しは今後の成長課題である.そのため診察に際して泣いたり逃げまわったりしがちである.脱衣も拒否感が強いことがある.例えば服を脱がせることができるぬいぐるみや聴診器のおもちゃなども活用し,診察に向けての楽しい雰囲気作りを工夫したい.

C.見つけるべき疾患(専門医に依頼するタイミング)

 先天性疾患の多くはすでに医療機関で把握されているが,1歳半は大泉門閉鎖時期であり大泉門や頭囲と胸囲の差にも注意したい.低身長,肥満に対しての内分泌疾患も見逃さないため,栄養面など養育環境の確認が重要で

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