診療支援
治療

3歳児健診
medical examination of 3-year-old children
三浦義孝
(みうら小児科医院・院長(岩手))

 3歳での健診はkey age的健診である.発達の社会的な対応に変化がみられる大切な時期である.未指摘で境界域にあった発達遅滞,軽度脳性麻痺,視力・聴力障害などを拾いあげることが大切である.母子保健法の規定によると健診は1年間の幅があり,実施法は市町村により異なる.

A.尋ねるべき問診項目

 質問項目は地域特性を加味することは可能で,各市町村により特色がある.発達に関する項目は日本版DENVER Ⅱに準拠しているところが多い.健診で見逃しそうになる状態は,問診票から得られる情報がヒントとなる.例として,筆者が使用している3歳児健康診査票(盛岡市)の項目をあげる.

 名前,年齢,住所,本日の同伴者,同居家族の状況,主な保育者,妊娠出産の経過,乳幼児期の基本的発達チェック項目,1歳6か月児健診の状況,2歳児健診の状況,予防接種歴,罹患した病気・手術・外傷,現在経過観察・治療中の病気,体質(湿疹・下痢・風邪を訴える頻度),運動・言語・社会性〔①1人で階段を登る,②両足跳び,③転ばず走る,④きれいな丸(円)を書く,⑤手先の器用さ,⑥周囲の会話を理解し行動が可能か,⑦二語文だけ・単語だけ・まったく話さない,⑧不自由な会話・発音の不明瞭・どもり,⑨養育者から離れて遊ぶ,⑩ごっこ遊び〕,行動〔ⓐ1人で服の脱着,ⓑ排尿便の予告,ⓒ何でも自分でやろうとするか,ⓓ日常生活での心配(多動性・平気で高い所に登る・まわるものなどに執着すると周囲の呼びかけに応じない・感覚的に嫌うものがある[手に触れること・特定の音に耳をふさぐなど]・興味に偏りやこだわりがある)〕.

B.見るべき所見

 3歳児は①両足跳び,階段を1人で登る,②きれいな丸が書ける,③大小,長短,色の識別,④三語文が出て,名前がいえる,⑤同年齢の子どもとの遊び,が可能である.

 待合室や診察室までの様子を観察する.挨拶(言葉・動作),会話(名前・年齢

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