診療支援
治療

5歳児健診
medical examination at 5 years of age
小枝達也
(国立成育医療研究センターこころの診療部・統括部長)

A.尋ねるべき問診項目

 健診票の問診項目としては,運動発達,言語発達,社会性の発達に関する項目を尋ねる.運動発達ではスキップができるか,片足飛びができるか,真似て四角が書けるか,ボタンをはめることができるか,など粗大運動と微細運動の両方を聞く.言語・認知発達では,じゃんけんの勝ち負けがわかるか,しりとりができるか,やり取りのある会話ができるか,発音は明瞭か,などを尋ねる.社会性の発達では,集団の中で遊べるか,ごっこ遊びができるか,順番が待てるか,などを尋ねる項目がお勧めである.

B.見るべき所見

1.会話でのやり取り

 保育所や幼稚園の名前,クラスや先生の名前などを聞いて,オリエンテーションが把握できているかを調べる.また好きな給食や遊びについて尋ねて,自己表現力を調べると同時に,聞かれたことに答えるというやり取りの成立を確認する.知的な遅れや自閉スペクトラム症(ASD)では,オリエンテーションの不成立や会話の成立困難がみられる.

2.協調運動

 片足立ち5秒,片足飛び5回をさせて,下肢の協調運動をみる.5歳では5秒以上の片足立ちと連続5回以上の片足飛びができる.上肢では母指と示指とのタッピングをさせて,動作の円滑さやリズム性,反対の手の鏡像運動の有無をみる.また腕を肘で曲げて脇につけ回内回外をさせ,回転になっているかをチェックする.全般的な発達の遅れやASD,注意欠如・多動症(ADHD)などで陽性となるが,ASDでは下肢の協調運動に所見が出やすく,顕著な左右差が認められることがある.ADHDでは上肢の協調運動が不通過となることが多い.

3.物の用途

 帽子や靴など身近な5つの物品の用途を尋ねる.正答数が3つ以下の場合には言語発達の遅れが疑われる.

4.じゃんけん,しりとり

 知的発達や言語発達をみる項目である.90%以上の5歳児ではじゃんけんの勝ち負けがわかる.70%くらいの5歳児では3往

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