近年,育児支援システムは子育て支援を通じて,児童虐待予防・貧困対策・ひとり親対策など社会的養護の中心を担う事業となってきている.このためには子育て世代に対して,妊娠・出産・育児の期間を通じた途切れのない支援の体制構築が必要である.また従来の各種母子保健事業に基づく養育支援・要保護家庭へのハイリスクアプローチだけでは不幸な事例はなくならず,地域社会全体に対するポピュレーションアプローチによる育児支援体制が求められている.
従来から子育て支援拠点は色々と展開されてはいたが,相互の連携は乏しく,地域全体への取り組みとしては不十分であった.また母子手帳発行時の健康相談以降,生後4か月までに実施される乳児家庭全戸訪問事業まで,妊産婦家庭と地域保健とのかかわりは皆無に近く,産前産後ケアの充実も喫緊の課題である.
A.子育て世代包括支援センター事業
このような背景から,児童福祉法・母子保健法の改定により