診療支援
治療

医師による地域での育児支援活動
佐久間秀人
(佐久間内科小児科医院・院長(福島))

 「『あなたのそばにいますよ』のメッセージを伝えながら,子どもを育てる家族に寄り添いたいものである」,内海裕美医師(東京都文京区・吉村小児科)のこの一言が,筆者が育児支援にかかわるきっかけとなった.地域での育児支援において,対象は家族ばかりではない.子どもとかかわる園や学校もまた支援の対象になるであろう.

A.行政とタイアップした育児支援セミナー

 2004年より,筆者は子育て中の親を対象として,行政と連携した形で2か月に1回,これまでに通算80回余りの育児支援セミナーを開催している.毎回テーマを決めた講話のあと質問タイムを設けている.参加者は5人程度のこぢんまりとした集まりで,参加者のほとんどは母親とその子どもである.テーマは「子どものスキンケア」や「発熱時の対応」など.専門的ではない,生活に役立つ内容を目指している.質問タイムでは「夜泣きが続いて困っている」「母乳が足りているのかわからない」などの不満や不安感が飛び交う.どんな些細なことでも,母親としては真剣に悩んでいることに気づかされる場面も多い.疑問は抱いたそのときに解消することが理想である.自分の子育てに自信と安心を感じてもらえる場所を継続的に提供している.

B.小中学校での防煙・メディア授業

 2008年より毎年,校医としてかかわる小学校にて,春は「タバコ(ドラッグ含む)の害」,秋は「メディアの害」の出張授業を行っている.最近は近隣の小中学校よりも依頼されるようになった.防煙授業では,受動喫煙を含め喫煙の害について画像を用い伝える.将来の喫煙行動を抑制することが目的であると同時に,喫煙習慣は「ニコチン依存症」によるものであること,現代社会では非喫煙者ばかりでなく喫煙者こそが被害者であり,「喫煙者を悪者にしない」ことを伝えることも忘れてはいけない.メディア授業では,デジタルゲームによる視力の低下,前頭前野の活動低下による意

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