診療支援
治療

就学時の健康診断
health examination before entering school
石崎朝世
(発達協会王子クリニック・院長(東京))

A.就学時の健康診断(就学時健診)とは

 小学校に入学する児童がその前年に行う健康診断であり,学校教育を受けるにあたり健康上の課題を保護者や本人が認識して関心を深め,疾病があれば入学までに必要な治療をする.また学校生活や日常生活に支障となるような疾病などの疑いや障害のあるものをスクリーニングし,適切な治療の勧告,保健上の助言および就学相談などに結び付ける目的で,学校保健安全法(平成26年施行規則の一部改正)に基づき行われる.

B.実施の流れ

 4月に実施計画作成,9月に入学予定者名簿作成,9~10月に保護者に就学時の健康診断通知,10~11月に就学時の健康診断の実施,11~1月に事後措置として必要に応じて,治療勧告,保健指導,教育相談・就学支援が行われ,3月に入学する学校長に就学時の健康診断票が送付される.また健康診断に関する評価,次年度の計画立案も行われる.

C.健康状態の把握

 健康に関する保護者への調査で,既往歴,予防接種歴,成育歴など,本人の縦断的情報を得る.これらについては,当該幼児や保護者の人権やプライバシーに配慮する.

D.健康診断の項目と実際

‍ 表2を参照.

E.事後措置

 就学時の健康診断の結果は,保護者に通知されるが,疾病または異常の疑いのある子どもに関しては必要な医療を受けることを勧告する.受けていない予防接種に関しても接種を勧める.全身の状況や保護者との様子から児童虐待が疑われるものに関しては,児童相談所などに通告する.

 また発達障害を含む障害の疑いのある場合,地域の教育体制などを勘案して,都道府県が設置する特別支援学校の就学が適当と認める子どもについては,都道府県教育委員会に3月前までに通知などを行う(学校教育法施行令第十一条).適切な教育相談,就学相談を行い,必要に応じて保護者に対し,教育相談,子育て相談,心理発達相談,かかりつけ医への相談に引き継ぐことが大切

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