診療支援
治療

教職員の健康管理
health administration for school personnel
堀江正知
(産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管理学・教授)

A.健康管理体制

 教職員の健康管理は「学校保健安全法」(学保法)と「労働安全衛生法」(安衛法)の両者で規定されている.学保法は,学校の設置者が学校ごとに学校医を選任し,生徒らと職員を対象に健康診断を実施するよう定めている.養護教諭は健康相談や保健指導を行うが,対象が生徒らに限定されている.

 安衛法は,事業者(学校法人,独立行政法人,教育委員会など)が,労働者(教職員)の健康診断を行うよう定めている.常時使用する労働者数が50人以上の事業場(学校)では,有資格の産業医を選任し,職場巡視,衛生委員会への参加,健康診断結果に基づく就業上の措置,長時間労働者や高ストレス者の面接指導などの職務を行わせるよう定めている.学校は50人未満の小規模事業場が多いので,保健主事,養護教諭,保健科教諭が,教育委員会などが選任する産業医と連携しながら,教職員の健康管理を推進することが期待される.

B.健康診断

 定期健康診断の項目は両法でやや異なる.感染症法は結核健康診断の受診義務を定めており,若年者も胸部X線検査を省略できない.有所見率は血中脂質,肝機能,血圧,血糖検査などが高く,いずれかの項目に所見がある率は50%を超えている.学保法は健康診断結果に基づき,設置者が治療指示や勤務軽減などの措置を実施する義務を定めている.安衛法は事業者が産業医などの意見を聴取して,就業上の措置(職場や作業の改善,人事的な措置など)を実施する義務を定めている(図1).なお,40~74歳である教職員およびその被扶養者は,高齢者医療確保法に基づき医療保険者が実施する特定健康診査および特定保健指導の対象となる.ただし,教職員については,共済組合などが事業者から安衛法に基づく健康診断結果の提供を受けることで,改めて特定健康診査を実施する必要はない.

C.長時間労働者の面接指導とストレスチェック

 安衛法は,前月の時間外労働が1

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?