診療支援
治療

アレルギー疾患児の生活管理
management of allergic students
今井孝成
(昭和大学小児科・教授)

A.学校におけるアレルギー疾患管理

 アレルギー疾患を有する児が年々増加するなかで,文部科学省は2008年に発出した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」を2020年に改訂して,その管理の充実に着手している.このなかで3点の重要なポイントがあげられている.すなわち,①各疾患の特徴をよく知ること,②個々の児童生徒の症状などの特徴を把握すること,③症状が急速に変化しうることを理解し,日頃から緊急時の対応への準備を行っておくことである.

B.学校生活管理指導表

 学校におけるアレルギー疾患管理には,医師の診断に基づく「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」の提出が必須であり,毎年1回提出が求められる.指導表は保護者が学校に何らかのアレルギー対応を求めるときに,保護者が主治医に依頼するものである.このため疾患があっても学校に必ずしも対応を求める状況に児がなければ,必ずしも提出する必要はない.指導表には気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性結膜炎,食物アレルギー・アナフィラキシー,アレルギー性鼻炎に関する記載欄があるが,対応の必要がある疾患のみ記述すればよい.

 診断書の位置づけにあり,医師には正確かつ詳細にアレルギーの状況を記載することが期待されている.

C.学校給食における管理

 学校におけるアナフィラキシーリスクのほとんどは,食物アレルギーに起因する.このため学校給食におけるアナフィラキシーの予防管理は非常に重要である.文部科学省は「学校給食における食物アレルギー対応指針」を発出して,その対策の充実をはかっている.

 学校給食におけるアレルギー対応は誤食など事故予防の観点で,①児の重症度に合わせた段階的な個別対応は行わず提供するかしないかの二者択一対応とする,②重症児には給食は提供せず弁当対応とする,ことなどが指導されている.

D.アナフィラキシー管理

 しかし調理や配膳過程

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