学校保健は,保健管理と保健教育からなる.耳鼻咽喉科疾患に関しても同様で,保健管理は健康診断と事後措置が中心となり,保健教育は健康教育を考慮しなければならない.また,この推進のためには保健組織活動が必要で,特に学校保健委員会への参加が必須である.
健康診断は,視診と事前の調査票を用いて疾患のスクリーニングを行う.耳鼻咽喉科はコミュニケーションの中心となる聴覚や音声言語を評価する.文部科学省のインクルーシブ教育システムの推進に伴い,通常学級にさまざまな障害をもつ子どもたちが進学している.そのため,以前にも増して個々のコミュニケーション能力を把握することが必要となっており,その点からも重要な領域と考えられる.
以下に学校保健で問題となりやすい疾患をあげる.それぞれの疾患の病態や治療方針は「第25章 耳鼻咽喉疾患」を参照いただきたい.ここでは主に学校で留意するべき点のみ述べる.
A.耳疾患
耳垢栓