診療支援
治療

耳鼻咽喉科疾患の管理
management of the diseases of the otorhinolaryngology as a school doctor
大島清史
(大島耳鼻咽喉科・気管食道科クリニック・院長(東京))

 学校保健は,保健管理と保健教育からなる.耳鼻咽喉科疾患に関しても同様で,保健管理は健康診断と事後措置が中心となり,保健教育は健康教育を考慮しなければならない.また,この推進のためには保健組織活動が必要で,特に学校保健委員会への参加が必須である.

 健康診断は,視診と事前の調査票を用いて疾患のスクリーニングを行う.耳鼻咽喉科はコミュニケーションの中心となる聴覚や音声言語を評価する.文部科学省のインクルーシブ教育システムの推進に伴い,通常学級にさまざまな障害をもつ子どもたちが進学している.そのため,以前にも増して個々のコミュニケーション能力を把握することが必要となっており,その点からも重要な領域と考えられる.

 以下に学校保健で問題となりやすい疾患をあげる.それぞれの疾患の病態や治療方針は「第25章 耳鼻咽喉疾患」を参照いただきたい.ここでは主に学校で留意するべき点のみ述べる.

A.耳疾患

 耳垢栓塞,滲出性中耳炎,慢性中耳炎に注意する.特に難聴に留意し,また水泳の際に注意が必要なこともある.

B.難聴

 軽・中等度難聴は,難聴に気づかれない例が多くみられるが,言語発達に影響する場合もあり,補聴器の装用を早期に検討する必要がある.補聴器購入に対して,多くの自治体で購入費の助成が受けられるようになっている.人工内耳装用児や補聴器装用児,一側性難聴,心因性難聴は,周囲や学校の配慮が必要である.ヘッドホン装用が難聴をきたす可能性に関して,健康教育の観点から日常的な注意喚起による予防が大切である.

C.鼻呼吸障害

 特にアレルギー性鼻炎は,最近低年齢化の傾向にあり,鼻閉が睡眠障害,呼吸機能障害をもたらし,集中力の低下など学業修得にも悪影響を及ぼすおそれがある.

D.音声言語異常

 音声異常としては小児声帯結節がみられることが多い.言語異常としては機能性構音障害に注意する.自然治癒するものが多いが,難治性

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