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学校環境衛生とその対策
school environmental hygiene and necessary measures
村松章伊
(愛知県学校薬剤師会・監事・名誉会長)

A.学校教育法,学校保健安全法による定め

 学校教育法第12条では「学校においては,別に法律で定めるところにより,幼児,児童,生徒及び学生並びに職員の健康の保持増進を図るため,健康診断を行い,その他その保健に必要な措置を講じなければならない」と定められている.その法の趣旨を達成する目的で,学校保健安全法第4条で学校保健に関する学校設置者の責務を定めている.

 さらに学校保健安全法第5条では「児童生徒等及び職員の心身の健康の保持増進を図るため,児童生徒等及び職員の健康診断,環境衛生検査,児童生徒等に対する指導その他保健に関する事項について計画を策定し,これを実施しなければならない」とされていて,第6条で環境衛生について「文部科学大臣は,学校における換気,採光,照明,保温,清潔保持その他環境衛生に係る事項について児童生徒等及び職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準」を学校環境衛生基準として定めている.

B.学校薬剤師の責務

 学校薬剤師は,学校保健安全法第23条の規定により大学を除く学校(幼稚園,幼保連携型認定こども園などを含む)におくことが義務づけられている.その職務執行の準則は学校保健安全法施行規則第24条に記載されているが,第一番目の職務として環境衛生検査への従事が記載されている.

 学校薬剤師は,法に則り職務執行をするが,環境衛生検査では簡易な検査機器が必要な検査や高度機能をもった検査機器を備えている試験検査センターなどに依頼しなければならない検査もある.それらの費用などは国から交付金として支給されたなかから,学校または学校の開設者から支払われることになっている.しかし現実には,環境衛生検査に必要な機器類の整備や検査費用が適切に使われていないケースもみられるようである.校長ならびに学校の開設者は学校環境の重要性を認識する必要があり,全項目検査が実施されていない学校の

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