近年の学校現場において,体調不良を訴え,あるいはこころの問題を疑われる児童生徒が少なくない.どの子どもがこころの問題をもち,どのような支援を行ったらよいのか,早期に評価し適切な対応を行うことができれば,子どもは心身の健康を取り戻すと考えられる.
A.児童生徒のこころの問題の現れ方
大人と異なり,言語化が未発達な子どもがこころに問題をもつと身体や行動の変化(心身上の変化)が現れる.以下のような症状の背景には,さまざまな心の問題が隠れている.
1.身体の変化
自律神経系を介する症状が多い.頻脈,徐脈,低血圧や高血圧,立ちくらみ,失神,腹痛,下痢,頭痛,食欲低下,嘔吐,体重減少,頻尿,遺尿,脱毛,視力低下,難聴,発熱,身体疼痛,睡眠障害,気管支喘息,過呼吸,アレルギー反応など.
2.行動の変化
不眠,多動,イライラ,悲嘆,怖がる,パニック,暴力,非行,遁走,ぼーっとする,意欲低下,抜毛,習癖など.