診療支援
治療

小児外反扁平足
pediatric flatfoot
落合達宏
(宮城県立こども病院整形外科・科長)

●病態

・小児期に発生した足部アーチ構造の破綻を示す変形で,単に土ふまずがなくなるのではなく足部全体が回外してアーチが低下する外反変形(図1)である.

・荷重により変形するが非荷重で消失する可撓性扁平足(FFF:flexible flatfoot)と,非荷重でも消失しない強剛性扁平足に分類される.

・多くは筋・靭帯の弛緩傾向による支持性低下から生じるFFFであるが,一部にアキレス腱短縮を伴うFFFもみられ,距腿関節の背屈制限に対して荷重負荷が代償性に距骨下関節を外がえしさせた結果として生じる特殊なものもある.

●治療方針

 FFFでは始歩後から幼児期の間にアーチサポートで治療し,就学時には治癒して普通靴で生活できることを目指す.

1.踵骨外反と縦アーチの低下の両者が顕著なもの

 非荷重で採型したアーチサポートを,ヒールカップと連続させて熱可塑性樹脂の治療用靴インサートとして作製使用する.

2.踵骨外反が顕著だが縦アーチの低下は少ないもの

 踵部の剛性の高い靴を選び使用する.適合性や使用による剛性低下のチェックが重要である.

3.遺残変形

 就学後も変形が遺残する場合,シューウエアとして市販のアーチサポート利用を推奨している.手術が適応になる重症例もまれながら存在する.

■専門医へのコンサルト

・幼児の多くは足底皮下脂肪が豊富なため,土ふまずがなくても正常範囲のことがほとんどで治療の必要はない.

・背面からの裸足立位の観察で顕著な踵骨外反がFFF診断のポイントとなる.

■患児・家族説明のポイント

・靴文化をもたない日本人にとってFFFは放置されがちであるが,アーチサポートを含め医学的な裏付けのある「よい靴」を用いて,将来痛みのない健常な足部に育てるという視点が今日では重要である.



参考文献

1)Staheli LT:Flatfoot.Fundamentals of pediatric orthopedics

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