診療支援
治療

脚長不等
leg length discrepancy
岡田慶太
(東京大学医学部附属病院整形外科)

●病態

・脚長不等は以下に示すようなさまざまな要因によって大腿,下腿,足部の成長促進,抑制,変形により生じる.

・過成長をきたす疾患:血管腫などの腫瘍性病変,Beckwith-Wiedemann(ベックウィズ・ウィーデマン)症候群,片側肥大症,骨折,Russel-Silver(ラッセル・シルバー)症候群.

・成長抑制をきたす疾患:化膿性関節炎や骨端線損傷による骨端線障害,骨端線に近い腫瘍(内軟骨腫,骨軟骨腫,骨肉腫),下肢形成不全(大腿骨短縮症,腓骨形成不全症,脛骨欠損症,先天性下腿偽関節症など).

・その他:Blount(ブラント)病,ペルテス病.

●治療方針

 脚長不等により跛行,側弯症,腰痛,肩こりなどさまざまな症状が生じうる.脚長差は成長終了時に2cm以内とすべきであり,それを目標に以下のような治療方法を選択する.

A.補高

 中敷や靴底を厚くすることで脚長差を補正する.最も簡便な方法であるが,裸足では脚長補正ができない.

B.脚延長術

 日本ではリング型や単支柱型の創外固定器を用いた脚延長術が主に行われている.骨にワイヤーやピンを刺入して大腿や下腿を固定したうえで,大腿骨あるいは脛腓骨を骨切りし,骨を最大1mm/日で延長する.先天性疾患や5cm以上の脚長不等に対して行われることが多いが,治療に時間を要する.

C.骨端線抑制術

 プレートやスクリューを用いて長い下肢の成長を抑制することで,脚長差を縮める方法である.下肢は大腿骨遠位で10mm/年,脛骨近位で5mm/年,成長するのでこれらを抑制することで脚長差を縮める.プレートやスクリューは体表からは見えず,運動など制限なく行えることが利点である.骨端線抑制は2年間までであれば可逆的とされており,骨長を調整しやすいが,成長期にしか行えないため手術時期の判断が重要となる.

D.脚短縮術

 長管骨を一部切除して,長い下肢を一期的に短縮し脚長を補正する

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