●病態
・軟骨無形成症は骨系統疾患のなかで最も発生頻度が高く,四肢短縮型の低身長,特異な顔貌を特徴とする.
・4番染色体上のFGFR3(fibroblast growth factor receptor 3)の活性型変異により発症し,常染色体優性遺伝であるが,突然変異による散発例がほとんどである.
・骨形成には2つの様式があり,四肢を形成する長管骨の長軸成長には内軟骨性骨化が,横径成長には膜性骨化が関与している.FGFR3により内軟骨性骨化のみが障害され,長管骨は短く太くなる.
・診断は臨床所見と単純X線により容易であるが,胎児エコーにより四肢短縮や頭囲拡大などで出生前に本疾患が疑われることがある.
●治療方針
成長ホルモンの投与により最終身長の改善がみられたが,十分ではなく外科的手術を希望する場合が多い.
A.四肢の骨延長術
低身長という整容的な側面のみならず,四肢短縮に伴う日常生活動作の制限がさまざまな場面で生じる.そのため,創外固定器を用いた仮骨延長法による骨延長術が一般的に行われる(図1図).創外固定器は単支柱型とリング型がある.
トイレや身だしなみなどに重要な上腕骨については絶対的な適応であり,下肢の延長より優先される.下腿骨・大腿骨の骨延長は相対的な適応であるが,最終身長に直結するため上腕骨に先行して希望する場合が多い.上腕骨は7~10cm,下腿骨と大腿骨は約10cmの延長が可能である.時期としては小学校の高学年~中学生で行われる.骨延長は強い疼痛やリハビリテーションの苦痛,合併症などを伴う治療である.
治療期間は長期にわたるため,計画前に本人および家族の十分な理解と,何より本人の覚悟が重要であり,学校との連携も不可欠である.
B.脊柱管狭窄症に対する手術
青壮年期には,脊椎変形に伴う腰痛や腰部脊柱管狭窄症による下肢痛や間欠性跛行が問題となる.脊髄圧迫による神経症状を呈する場