●病態
・骨基質蛋白であるI型コラーゲンの異常により発症し,全身骨の脆弱性と易骨折性を特徴とする.骨折頻度は骨成熟とともに減少するが,生涯にわたり健常者よりは高い.長管骨や脊柱の弯曲変形をしばしば認める.
・I型コラーゲンは骨以外にもさまざまな組織に発現しているため,関節弛緩性,皮膚の脆弱性,青色強膜,歯牙形成不全,難聴,心臓弁異常などを認めることがある.
・被虐待児症候群との鑑別が重要となる.
・指定難病や小児慢性特定疾病に認定されており,診断基準が確立している.
●治療方針
運動発達が遅延する児に対しては,骨折に注意しながら理学療法を行う.重症例では立位訓練時などに骨盤帯付き下肢装具を使用する.
内科的治療としては,小児期にはパミドロン酸の間欠的静脈注射を行い,成人期以降は経口のビスホスホネート製剤(BP製剤)にスイッチする.BP製剤は骨密度の上昇,骨折頻度の減少や骨伸長の増加に有効であるとされている.ただし,骨折回数が少なく,骨の弯曲を認めない軽症例に対する同薬剤の適応に関しては,コンセンサスが得られていない.
下肢長管骨の弯曲変形は歩行能力に大きく関与するため,楔状の矯正骨切り術を行う.プレートやスクリューの使用は避け,Kワイヤーなどによる髄内釘で固定するが,骨端線を越えてできるだけ長い釘を挿入することで良好な固定性が得られる.髄内釘の留置は,その後の骨折や変形の予防効果もあるため抜釘は原則行わない.廃用性の骨萎縮を防止するため,術後のギプス固定期間はできるだけ短くすることが望ましく,ギプスを装着したままでの立位訓練を積極的に指導する.
脊柱変形に対しては,装具治療や脊椎矯正固定術を行う.また頭蓋底陥入症やChiari(キアリ)奇形など,頭蓋・頸椎移行部異常を伴うことがある.
■患児・家族説明のポイント
・愛護的な育児が必要であることはいうまでもないが,骨折はある程度避けられない
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