診療支援
治療

皮膚科レーザー治療の適応
indication of laser therapy for infantile skin diseases
山田裕道
(前 国際親善総合病院皮膚科・部長)

A.レーザーとは

 LASERとはlight amplification by stimulated emission of radiationの頭文字をとった造成語で,一般的に「放射の誘導放出による光の増幅」と訳される.レーザー光が太陽光や電球の光と異なる点は,①単色性(単一波長である),②可干渉性(位相が揃っている),③指向性(平行な光である),④高輝度(エネルギー密度が大きい)などの点にある.皮膚科レーザー治療のポイントは波長,パルス幅(照射時間),照射エネルギーの3点である.以下に小児に使うレーザー機器を例にあげて簡単に解説する.

1.色素レーザー(ダイレーザー)

 レーザー媒質はローダミン色素溶液で,波長は585nmまたは595nm.これらの波長は酸化ヘモグロビンへの吸収係数が高く,マイクロ秒単位の照射時間において血管系腫瘍の治療に用いる.

2.Qスイッチルビーレーザー

 レーザー媒質はルビーで,波長は694nm.メラニンによく吸収される波長である.

3.Qスイッチアレキサンドライトレーザー

 レーザー媒質はアレキサンドライトで,波長は755nm.前述の694nmと同様755nmもメラニンによく吸収される波長である.Qスイッチとはナノ秒単位のパルス幅で照射できる装置のことで,このパルス幅によりメラノサイトの中のメラノソームを破壊する.深在性の色素性疾患の治療に用いる.

4.ロングパルスアレキサンドライトレーザー

 波長は755nmで3.と同じであるが,Qスイッチではなくロングパルスなのでミリ秒単位の照射時間である.メラニンに吸収されて,その周辺の組織を破壊するので脱毛に用いる.

5.炭酸ガスレーザー

 レーザー媒質は炭酸ガス,波長は10,640nmで水に吸収される波長である.細胞・組織を破壊するので小型の良性皮膚腫瘍の切除,蒸散に用いる.

B.保険適用のレーザー治療

 健康保険の適用のある

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