診療支援
治療

疣贅(いぼ)
warts
江川清文
(熊本大学病院皮膚科)

●病態

・ヒト乳頭腫ウイルス(HPV:human papillomavirus)感染により生じる良性腫瘍性疾患である.

・HPV型の違いにより臨床像が異なり,尋常性疣贅,ミルメシア,扁平疣贅や外陰部に生じる尖圭コンジローマなどが知られている.

・接触感染でうつるため,尖圭コンジローマについては性感染症としての対応が必要である.

●治療方針

 すべての患児に一様に有効な治療はなく,患者ごとに選択する.自然治癒も期待され,醜形を残す治療はなるべく避ける.

A.軽症~中等症

 主に,保険適用を有する(オキサロールを除く)下記治療法から選択する.これらを併用することが多い.

1.ヨクイニンエキス内服

 尋常性疣贅と扁平疣贅に保険適用あり.小児などへの安全性は確立していない.

Px処方例

ヨクイニンエキス錠 1回1~4錠 1日2~3回 (通常成人は1日9~18錠 1日3回に分けて) 年齢,症状により適宜増減

2.スピール膏M貼付

 疣贅に保険適用あり.小児では副作用が発現しやすいので慎重投与.

Px処方例

スピール膏M 必要枚数を患部の大きさに合わせて切って貼り,3~4日ごとに取り替える

3.液体窒素凍結療法

 疣贅に保険適用あり.3~4回の凍結・融解を1~2週ごとに行う.疼痛,水疱形成,色素沈着や瘢痕などの副作用が問題となる.

4.電気焼灼

 疣贅に保険適用あり.局所麻酔下に専用機器を用いる.

5.ベセルナクリーム外用

 尖圭コンジローマに保険適用あり.小児などに対する安全性は確立していない.

Px処方例

ベセルナクリーム 1日1回 週3回 塗布 16週が限度

6.オキサロール軟膏外用

 保険適用はないが「痛くない疣贅治療法」として推奨できる.小児などへの安全性は確立されていない.

Px処方例

オキサロール軟膏 1日1~2回 適量を塗布 密封包帯法やスピール膏Mを併用

B.重症例・難治例

 上記を用いるほか,局所療法としてステリ

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