診療支援
治療

陥入爪
ingrown nail
新井裕子
(新井ヒフ科クリニック・院長(東京))

●病態

・小児にも多く,疼痛,炎症,感染,肉芽組織形成,運動制限などを伴う.病因は誤った爪切りや爪折れなどの爪の角,爪刺などによる異物反応である.不適切な靴,運動などで悪化する.

●治療方針

 刺激となる爪辺縁を回避し,爪郭を保護する.爪の薄い小児には主にテーピング,重症例にはガター法も可能である.これらの単独あるいは併用療法を勧める.内服抗菌薬は適宜使用する.

A.アンカーテーピング法

図1

 コツはテープのずれを考慮する.まず炎症病巣や肉芽組織を覆うように,テープを爪郭・爪縁に縦に貼り土台をつくる.次に土台テープの上に別のテープの先端を直角に貼り,指で押さえ,もう一方を斜めに引いて腹側に回し,次に背側まで引かずに置くように貼る.さらにテープと皮膚を紙テープで固定する.

 注意する点は隣接2関節,指を一周して貼らないことである.軽症例,治癒後の再発防止にも適宜応用する.

B.アクリル固定ガター法

図2

 適応は肉芽組織のある重症例である.小児では爪が十分固い症例に勧める.麻酔下に,陥入した爪辺縁を持ち上げて爪外側縁を剥離する.それに沿い縦に切れ目を入れた点滴チューブなどを挿入し,常温重合アクリル樹脂(人工爪用,歯科用)で爪に接着・固定する.医療用ボンド,紙テープ,糸での固定も応用可能である.即座に疼痛の軽減を得られる.

 数週間で肉芽組織は消失,自爪の生長を待つ.爪欠損の症例では義爪にもなる.テーピングを適宜併用すると,より効果的である.

C.再発予防

 運動,歩行時にテーピングを行う.正しい爪切りと適切な履物の選択が重要である.



参考文献

1)新井裕子,他:陥入爪の処置―アクリル固定ガター法,アンカーテーピング法および形状記憶合金の応用.皮膚病診療33:77-81,2011

2)Arai H(Baran R)Noninvasive treatment for ingrown nail:An

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