診療支援
治療

屈折異常
refractive errors
稗田 牧
(京都府立医科大学眼科学・講師)

●病態

・眼球は,角膜と水晶体という2つのレンズがあり,網膜という光を感じる膜(フィルム)が裏打ちしている(図1).

・調節力は,近くを見るために焦点を前方にずらす働きである.正視は,調節力を使っていない状態で平行光線(無限遠からの光)が網膜に焦点を結ぶ.それ以外の屈折異常は以下に分けられる.

・近視:平行光線が網膜より前で焦点を結ぶ.この原因は角膜から網膜までの距離が長いためである.遠方の視力は低下するが,球面レンズで矯正できる.

・遠視:調節力を使っていない状態で平行光線は網膜より後ろで焦点を結ぶ.調節力が不安定な遠視の幼児では,鮮明な像が網膜に結べない.このため視力発達が止まり「弱視」になる.

・乱視:角膜の縦方向と横方向のカーブが異なる状態で,円柱レンズで矯正できる.

●治療方針

A.就学前

 新生児は遠視で,小学校入学時にはほぼ正視となり,その後近視になっていく.

 幼児では左右の屈折度数が大きく異なる不同視弱視や,ある程度より強い遠視で起こる屈折異常性弱視,を早期に発見して眼鏡装用をさせる.3歳以後では眼鏡装用は可能であるが,それ以下の子どもでも装用できることもある.3歳ぐらいの早期に眼鏡装用を開始すれば正常な視力まで発達できる.

 原則は調節麻痺剤を用いて屈折を測定したうえで眼鏡を処方する.5歳までは毎年,9歳未満では2年に一度の眼鏡作製は公的補助の対象である.

B.就学後

1.眼鏡

 学業に必要な視力は1.0程度と考えられており,視力検診で1.0未満であれば眼科への受診が勧められる.最初に眼鏡を作製するときには,原則,調節麻痺下の屈折検査を行い,調節緊張でなく近視であることを確認する.小児では特に,処方箋で眼鏡を作製する.

2.コンタクト

 角膜上に乗せるハードコンタクトレンズが1940年代に開発され,その後ソフトコンタクトレンズ,さらにディスポーザブルコンタクトレンズとより異物感が少

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?