●病態
・新生児の視力は0.02程度である.生後,網膜の黄斑中心窩に鮮明な像が結像されて視力は発達していく.何らかの原因により中心窩に結像されなかった場合,視機能の発達が得られず弱視となる.その原因により屈折異常弱視,不同視弱視,斜視弱視,形態覚遮断弱視に分類される.
・視力検査により視力の評価を行うが,3歳未満で視力検査ができない年齢では片眼ずつの固視・追視の状態を確認し,不良であれば弱視を疑う.
・視覚の発達の感受性期間は8歳頃までであるが,なかでも1歳6か月頃が最も高い.弱視は早期発見し,感受性期間内に治療を開始しなければならない.そのため3歳児検診,就学時検診,学校検診の果たす役割は重要である.
●治療方針
弱視の原因によって治療方針は異なる.器質的原疾患が治療可能な場合は,まず原疾患の治療を行う.
A.屈折矯正
屈折異常があれば屈折矯正を行う.小児の屈折矯正は眼鏡装用が基本である.小児では調節力が強いため,正確な屈折度数を測定するためには,シクロペントラート点眼やアトロピン硫酸塩点眼といった調節麻痺薬で調節を麻痺させて屈折検査を行い,眼鏡処方する.屈折検査は半年から1年間隔で定期的に行い,屈折度数の変化があれば,改めて眼鏡処方を行う.
B.健側遮閉
視力に左右差のある症例では,視力のよいほうの眼を遮閉することにより,視力の悪い弱視眼を集中的に使って弱視眼の視力の発達を促す.アイパッチを健眼に貼る.毎日の貼付により皮膚の状態が悪くなる場合は,眼鏡のレンズを布アイパッチで覆う方法もあるが,隙間からのぞいて健眼を使用してしまい,遮閉されていないこともあるため注意が必要である.
最初は1~2時間/日から開始し,徐々に時間を増やす.終日行うこともある.弱視眼の視力が発達すれば,健眼遮閉の時間を漸減してから中止にもちこむ.
健眼遮閉をあまり長時間行うと,視力のよいほうの健眼が形態覚遮断弱