●病態
・新生児の眼脂・流涙には下記のような病態がある.
a)細菌性結膜炎:淋菌,クラミジアを含む
b)ウイルス性結膜炎
c)先天鼻涙管閉塞
d)その他:睫毛内反,真菌性結膜炎,小児緑内障
・細菌性結膜炎全体の原因菌として,乳幼児ではインフルエンザ桿菌が多い.
・淋菌性結膜炎は多量のクリーム状眼脂が特徴的で,急激に進行して角膜を融解し,半永久的な視力障害をきたす.クラミジア結膜炎は膿性の眼脂が特徴である.
・ウイルス性結膜炎は新生児での感染報告が少ないが,ヘルペスウイルスの初感染では全身に影響が及ぶことがある.
・先天鼻涙管閉塞は,鼻涙管の下鼻道への開通が遅れ,涙点からの涙液や眼脂の排出が行われなくなった状態である.鼻涙管内に溜まった眼脂が感染をきたすと,膿性眼脂が逆流する.新生児の20%が鼻涙管閉塞の状態であるが自然開通し,12か月までに9割以上が自然軽快する.
・その他,新生児は睫毛が軟らかく,表層角膜炎をきたして流涙が起きることは珍しい.また真菌性結膜炎も免疫抑制がない限り新生児にはまれである.小児緑内障では眼圧が上昇し,角膜混濁と牛眼を伴った場合に流涙が症状となる.
●治療方針
A.細菌性結膜炎
眼脂の鏡検および培養を行い,可能性の高い原因菌に対して抗菌薬点眼を開始する.
Px処方例 淋菌はニューキノロン系に対して耐性が多く,セフェム系の➊を用いる.クラミジアの場合,マクロライド系とテトラサイクリン系・ニューキノロン系の➋が有効だが,1時間ごとの頻回点眼を継続する必要がある.それ以外ではニューキノロン系の➌を用いる.
B.ウイルス性結膜炎
アデノウイルスに対しての治療薬はなく,周辺への二次感染を予防する.ヘルペスウイルスが疑われる場合は,全身投与に準ずる
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