●病態
・生下時より混濁がみられる先天性の角膜混濁と,感染や外傷などで生じる後天性の角膜混濁に大別される.
・先天性の角膜混濁は,発生異常〔Peters(ペータース)異常,強膜化角膜,Axenfeld-Rieger(アクセンフェルト・リーガー)症候群など〕,変性症(先天性遺伝性角膜内皮変性症など),代謝異常(ムコ多糖症などのライソゾーム病),早期発達緑内障,腫瘍性疾患(輪部デルモイド)がある.所見に左右差を認めることもあるが,腫瘍性疾患以外は基本的に両眼性である.
・後天性の角膜混濁は,角膜ヘルペス,細菌感染,外傷などが原因となる.多くが片眼性である.
・思春期以降に円錐角膜,角膜ジストロフィーやコンタクトレンズ関連角膜感染症がみられる.
A.検査
先天性の角膜混濁により,前房,隅角,虹彩などの所見を得られない場合に,超音波生体顕微鏡(UBM:ultrasound biomicroscopy)を用いる.Peters異常や強膜化角膜に伴う所見として,角膜の菲薄化,角膜中央部を中心とした部分的デスメ膜欠損,浅前房,虹彩から角膜内皮面に向けての索状物の立ち上がり,部分的隅角閉塞,虹彩角膜癒着,無虹彩,無水晶体などがある.超音波Bモードで眼軸長,前房深度,網膜硝子体異常の有無を検討する.
B.全身的な合併症
a)輪部デルモイド:副耳,耳漏孔,脊椎異常
b)Axenfeld-Rieger症候群:歯牙異常,顔面異常
c)Peters異常:中枢神経異常,口蓋・口唇奇形,心奇形,肺低形成,尿生殖器異常,脊髄披裂,仙骨低形成,トリソミー13やトリソミー15など
d)無虹彩症:Wilms(ウィルムス)腫瘍
e)代謝異常による角膜混濁:ムコ多糖症,ファブリー病など
●治療方針
先天性では,早期発達緑内障による牛眼を鑑別する.隅角形成異常を伴いやすいことから,緑内障合併の有無を確認する.また小眼球の合併,全身異