診療支援
治療

先天白内障
congenital cataract
野々部典枝
(名古屋大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター)

●病態

・水晶体に混濁があるものを白内障という.小児期に生じる白内障全体を小児白内障とよび,生直後に白内障が存在している場合を先天白内障,それ以後に進行してくる白内障を発達白内障とする.

・原因を特定できないことも多いが,遺伝的素因,代謝異常〔ホモシスチン尿症,ガラクトース血症,Lowe(ロウ)症候群,Alport(アルポート)症候群など〕,染色体異常〔Down(ダウン)症候群など〕,胎内感染(風疹,トキソプラズマ,ヘルペス・サイトメガロウイルスなど)などの全身疾患に伴って生じる場合があり,小児白内障を診たときには全身疾患のスクリーニングが必要である.小角膜,小眼球,第一次硝子体過形成遺残,虹彩低形成などの眼疾患を合併していることもある.

・混濁の程度が強いと,視覚刺激が遮断され弱視を引き起こすため,早急な治療が必要である.遺伝歴や全身疾患のある場合を除くと,眼振・視線が定まらない(両眼性),斜視(片眼性),瞳孔内が白いなどで発見されることが多い.片眼性では視力障害を訴えず発見が遅れがちになるため,健診での視力検査,屈折検査は重要である.

●治療方針

 まずは眼科を早急に受診させ,小児眼科手術に対応できる施設への連携を急ぐ.白色瞳孔の場合は,白内障のみでなくほかの後眼部疾患を合併している可能性があるため,正確な診断を急ぐ必要がある.重篤な後眼部疾患を伴う場合には,術後の視機能獲得が期待できないため,手術適応とならない場合もある.

A.手術

 片眼の場合は生後6週以内,両眼の場合は生後10~12週までに手術を行うことが望ましいとされている.手術や全身麻酔に伴うリスク,術後合併症の長期管理の必要性を家族に十分説明して手術適応を決める.また混濁の程度が軽く,かつ左右差がない場合などは,頻繁に視力検査を行いながら経過観察する例もある.

 手術では混濁した水晶体を除去し,前部硝子体切除を併用する.眼

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