●病態
・通常,隅角発生異常に伴って線維柱帯の房水流出抵抗が大きくなることで眼圧が高くなり,眼球が大きくなり(牛眼),緑内障性視神経障害をきたす.前房が深く,角膜径が大きく(12mm以上),角膜混濁をきたしていることもある.
・原発先天緑内障では,流涙,羞明,眼瞼けいれんを伴う.眼圧測定時には,抱水クロラール〔トリクロリールシロップ:0.5~1.0mL/kg(最大量20mL),エスクレ坐剤:70mg/kg(最大量2g)〕で傾眠させた状態で眼圧測定を行う場合もあるが,点眼麻酔で覚醒することもあり,無麻酔で測定可能なアイケア手持眼圧計での眼圧測定が簡便である.
・小児緑内障の分類を下記に示す.
a)原発小児緑内障(primary childhood glaucoma)
・原発先天緑内障(primary congenital glaucoma)
・若年開放隅角緑内障(juvenile open angle glaucoma)
b)続発小児緑内障(secondary childhood glaucoma)
・Axenfeld-Rieger(アクセンフェルド・リーガー)異常
・Peters(ペータース)異常
・無虹彩症
・Sturge-Weber(スタージ・ウェーバー)症候群
・白内障術後緑内障
●治療方針
A.手術治療
原発先天緑内障の治療の第1選択は手術治療である.流出路再建術(線維柱帯切開術,隅角切開術)が最初に行われる.通常,線維柱帯切開術は,眼外から強膜弁を作製してシュレム管を同定するが,成人と比べてシュレム管の位置が後方に出現することもある.
1回の手術で切開できる範囲は120度程度で,通常3回まで行うことができる.ナイロン糸を用いた360度線維柱帯切開術が徐々に行われている.流出路再建術で眼圧下降が得られない場合には,ろ過手術あるいはプレートのあるチューブシャント手術が選択される