診療支援
治療

先天網膜・硝子体疾患
congenital vitreoretinal diseases
堀田喜裕
(浜松医科大学眼科学・教授)

●病態

・先天網膜・硝子体疾患には,さまざまな疾患が含まれており,Leber(レーバー)先天盲のように重篤なものから,日常生活にあまり問題のない疾患も含まれる.

・どれも頻度は高くないが,硝子体血管系遺残(第一次硝子体過形成遺残),朝顔症候群,コロボーマ,家族性滲出性硝子体網膜症,Norrie(ノリエ)病,Stickler(スティックラー)症候群,網膜血管腫,網膜色素変性,先天網膜分離症,白点状眼底,先天停在性夜盲,Best(ベスト)病,Stargardt(シュタルガルト)病,桿体1色覚,S(青)錐体1色覚,コロイデレミア,脳回状脈絡網膜萎縮,Coats(コーツ)病,眼白皮症,Bloch-Sulzberger(ブロッホ・サルズバーガー)症候群(色素失調症)などがあげられる.

・このなかには網膜芽細胞腫との鑑別が必要な疾患や,光凝固治療や網膜剥離手術が必要な疾患が含まれる.

●治療方針

 上記のうち特に代表的な疾患について下記に説明する.

A.硝子体血管系遺残(第一次硝子体過形成遺残)

 胎生期の硝子体動脈が遺残し,周囲の組織に増殖膜を形成する.視軸が障害されると視力の発達が不良となる.軽度で問題ないものから,網膜剥離や緑内障を併発して外科的治療が必要なものまである.

B.家族性滲出性硝子体網膜症

 遺伝形式はさまざまで,FZD4LRP5TSPAN12(常優),LRP5(常劣),NDP(X連鎖)が原因遺伝子の網膜血管の形成不全である.さまざまな年齢で多様な所見をとるが,眼底は未熟児網膜症に類似している.外科手術の対象となることがある.

C.先天網膜分離症

 X連鎖性遺伝形式をとり,原因遺伝子はRS1である.幼少時や学童期に視力低下で受診することが多い.屈折は遠視に偏っていて,車軸状の網膜分離はほぼ全例に認められる.光干渉断層計や網膜電図が診断に有用である.比較的軽度な症例が多いが,硝子体出血,

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