診療支援
治療

外耳道異物
foreign body in external auditory canal,nasal cavity
谷口雄一郎
(聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学・准教授)

Ⅰ.外耳道異物

●病態

・外耳道異物は鼓膜までの外耳道内における異物であり,日常診療で比較的扱うことの多い疾患である.小児ではビーズ,BB弾,小石,粘土,ビー玉などを自分で故意に挿入した場合が多く,時に昆虫などの有生異物が迷入することもある.

・症状として耳閉感,違和感,難聴を訴えることもあるが,無自覚のこともあり,異物挿入に家族が気づいて来院することも多い.

●治療方針

 外耳道異物では外耳道や鼓膜を損傷せずに摘出することが重要である.まず異物の種類と介在部位を確認し,耳垢鉗子や耳用小鈎などを用いて摘出する.異物が嵌頓している場合には,注射器と洗浄針を用いて異物と外耳道との間隙から生理食塩液を注入し,水圧によって異物を摘出する方法も有効である.生きている昆虫の場合には,まずキシロカインポンプスプレー8%やオリブ油を外耳道に散布して,殺虫してから鉗子や吸引で摘出するのがよい.

■患児・家族説明のポイント

・処置に伴う疼痛や外耳道損傷は避けられない場合があること,鼓膜損傷の可能性があることを説明する.

・小児で体動が激しく固定が困難な場合は,全身麻酔下での摘出が必要となることも説明しておく.

Ⅱ.鼻腔異物

●病態

・鼻腔異物は6歳以下の幼小児にみられることがほとんどで,異物の種類としてはBB弾,ビーズ,玩具が多い.無症状のこともあり,家族が異物挿入に気づいて来院する例も多い.気づかないまま長期間が経ち,悪臭を伴う鼻漏を主訴に発見される例もあるため注意を要する.

・診断は前鼻鏡検査による視診,鼻腔内視鏡検査によって行い,異物の種類を確認する.

●治療方針

 外耳道に比較し鼻腔はスペースがあるため,比較的容易に摘出できることが多い.異物が確認できたならば鉗子,鑷子,異物鈎などを用いて摘出する.球形の玩具など把持しにくいものには耳垢鉗子が有用である.ボタン型電池異物では短時間で鼻中隔穿孔などの重篤な合併症を生

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