診療支援
治療

鼻副鼻腔炎
rhinosinusitis
月舘利治
(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科・主任部長)

●病態

・鼻副鼻腔の感染により,鼻閉,鼻漏,後鼻漏,咳嗽などを伴う疾患である.一般的に,4週以内に症状が消失するものを急性,3か月以上症状が持続するものを慢性とする.

・ウイルス感染により急性として発症し,数日後に細菌感染に移行する.急性の病原菌は,肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラクセラ・カタラーリスである.

・アレルギー性鼻炎は,しばしば併存するが,副鼻腔炎発症への関与の有無に関してはいまだ議論がある.

・後鼻孔ポリープは,小児の鼻ポリープの1/3を占め,片側または両側鼻閉の原因となる.

・急性増悪による合併症として,眼窩内(眼窩蜂窩織炎,眼窩骨膜下膿瘍など)と頭蓋内(髄膜炎,硬膜下膿瘍,脳膿瘍など)がある.

●治療方針

A.局所療法

 鼻処置,鼻洗浄などの局所療法により,鼻汁で閉塞した鼻副鼻腔の通気を改善させ,鼻閉症状の改善,ネブライザー療法の効果増強をはかる.

B.薬物療法

1.急性

 可能な限り鼻汁細菌検査を行い,感受性をみながら5日間おきに適切な抗菌薬への変更を検討する.

 初期(発症後数日)はウイルス感染であり,また軽症例は自然治癒も認められるため,まず抗菌薬を投与せずに5日間経過観察し,改善がない場合は抗菌薬投与を検討する.中等症例以上は最初から抗菌薬投与を行う.

Px処方例 経過観察で改善のない軽症例,中等症例の初回は➊を用いる.そこで改善のない中等症例,重症例の初回は➋~➎のいずれか,重症例で改善のない場合は➏を用いる.➊~➏のいずれかの抗菌薬に➐を併用する.抗ヒスタミン薬,ロイコトリエン拮抗薬は,副鼻腔炎に対して効果があるという明らかなエビデンスはないが,併存するアレルギー性鼻炎に対して投薬することがある.

➊パセトシン細粒 1回10mg/kg(成分量として) 1日3~4回(最大量1日1,500mg)

➋パセトシン細粒 1回20mg/kg(成分量として) 1日3~4回(最大量1日

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