●病態
・新生児は生後しばらくの間口呼吸ができず鼻呼吸が中心となるため,鼻閉により睡眠障害,哺乳障害,呼吸障害などさまざまな影響を受ける.
・新生児・乳児の鼻閉の原因は,感染による炎症性のものが大半であるが,まれに先天性の後鼻孔閉鎖症,鼻腔狭窄などの疾患が原因となることがあるため,重篤な鼻閉や治療に抵抗する鼻閉の場合には,その原因精査が重要である.
・感染による炎症性のものには,細菌感染やウイルス感染によるものがあるが,新生児・乳児の場合には多くの場合ウイルス感染によるものである.
・最近では,乳幼児の後半期ではアレルギー性鼻炎による鼻閉もあり注意を要する.
・一側性で,悪臭を伴った膿性鼻汁の場合,鼻腔異物の可能性もあり,外来顕微鏡,内視鏡などでの局所の精査が必要である.
●治療方針
A.感染による炎症性の場合
局所処置と内服療法の併用が重要である.診療所などの医療機関では,通常のオリーブ型吸引管での吸引のみでなく,ネラトンカテーテルなどの軟性の吸引管を用い,鼻咽腔まで十分に吸引することが重要である.
1.ウイルス感染の場合
内服薬として粘液修復薬,気道潤滑薬などを投与し,鼻閉を生じている粘性の鼻汁の排泄に努める.ウイルス感染の場合にも,その治癒過程においては鼻汁の性状が膿性,膿粘性になることが多く,鼻汁の性状のみでは細菌感染によるものとの判別は困難である.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
2.細菌感染の場合
抗菌薬と粘液修復薬,気道潤滑薬などの併用を行うが,近年の薬剤耐性(AMR)対策の観点から,軽症例では抗菌薬非投与で5日間の経過観察を行うことが推奨される.
Px処方例 ➊を用いる.あるいは,➊に➋➌のいずれかを
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