Ⅰ.小児声帯結節
●病態
・就学前からの子どもの嗄声の原因となる最も多い器質性疾患である.2,3歳頃からみられ,6~9歳頃に最多となる.
・声帯の中央から前方約1/3が肥厚し,結節となる.
・未成熟な喉頭の脆弱性と易受傷性を背景に,力んだ発声や声の乱用により生じる.スポーツなどをしている活発な男児に多いが,声の乱用がはっきりしないこともある.
・第二次成長期に自然治癒しやすいため経過観察が基本だが,コミュニケーション障害や,いじめの原因となる場合もあり,その際は結節を切除する手術や音声治療,ステロイド吸入などを行う.切除術を行った際,子どもの発声方法や生活環境を変えることは難しく,再発が20%程度ある.
●治療方針
発声を控え,加湿に努めることが肝要である.声の衛生指導をしながら成長を待つ.急性の炎症がある場合は消炎薬,鎮咳薬も有効である.
A.保存的治療
1.声の衛生,音声治療
(スポーツ中など)大きな声を出す,長時間の会話など,声帯に負担の大きい発声は控え,声の衛生に留意する.ただし,子どもに声の衛生を守らせることは精神発達上で問題を生じることもあるため,過度な指導は避けるべきである.言語聴覚士による音声治療も有効とされる.また,患児の周囲で喫煙をしない.
2.加湿
ネブライザー,飲水,うがい,マスク着用などを用いるとよい.
B.声帯結節切除術
全身麻酔下に喉頭微細手術を行う.
手術適応は,嗄声が高度でコミュニケーション障害やいじめの原因となっている場合,職業性に演劇や歌唱などの活動が困難になっている場合,声帯嚢胞や乳頭腫などのほかの疾患との鑑別の必要がある場合,などである.
Ⅱ.変声障害
●病態
・思春期には喉頭の形態変化が著しく,喉頭筋の調節が不安定となり,粗造性嗄声や声の翻転をきたす.通常,変声の完了に伴いこれらの症状は消失するが,その時期を過ぎても不安定な声が持続したり,裏声発声様の高い
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