●病態
・言語とは意思伝達と思考のための共通の符号体系である.日本人であれば日本語という符号を使って,他者との意思の伝達をはかるとともに,複雑かつ抽象的な思考を行っている.小児ではさらに自己の行動の調整機能もある.
・おおよそ5歳までに基本的な言語構造を獲得するが,それまでの発達過程において言語能力が年齢相当の水準に達していない場合を言語発達障害という.言語発達に遅れがあると,表面上は他者とのコミュニケーションのための発語がない,行動にまとまりのないことなどがみられるが,裏面には思考過程の未熟さが伴っていることを念頭においておく必要がある.
・近年の少子化,核家族化などの影響もあって,頼るべき祖父母がおらず初めて子どもを育てるような保護者にとって,言語発達障害を認識することは困難なことが少なくない.言語発達障害は乳幼児健診でのチェックや,保育園や幼稚園などの保育機関での担当者の目を通して,医療機