●病態
・先天性,腫瘍性がある.また腫瘍性疾患ではないが,炎症性に頸部リンパ節などが腫脹した場合,腫瘍との鑑別を要する.成人と同様,CT,MRI,超音波などの画像検査,場合により穿刺細胞診,組織診を行い診断する.
・先天性には,正中頸嚢胞,側頸嚢胞,下咽頭梨状陥凹瘻,血管腫,血管奇形,リンパ管奇形などがある.
・良性腫瘍には,がま腫,類表皮嚢胞,類皮嚢胞,神経鞘腫,好酸球性肉芽腫などがある.悪性腫瘍には,甲状腺癌,上咽頭癌,唾液腺癌,肉腫などがある.
・炎症性には,Epstein-Barrウイルスなどによるウイルス性頸部リンパ節炎,亜急性壊死性リンパ節炎,川崎病に伴うリンパ節腫大,反復性耳下腺炎などがある.
●治療方針
A.先天性疾患
1.正中頸嚢胞,側頸嚢胞
正中頸嚢胞は甲状舌管,側頸嚢胞は主に第2鰓裂由来の胎生期遺残組織由来である.画像検査で正中,または側頸部に嚢胞病変が描出される.整容的問題や感染を繰り返すなどのエピソードがない場合,経過観察も選択肢となるが,正中頸嚢胞の1%程度に悪性所見があり注意を要する.
成人では,側頸嚢胞として経過観察していた症例がヒトパピローマウイルス陽性中咽頭癌や甲状腺癌の嚢胞状リンパ節転移であることも少なくない.治療方法には硬化療法と手術がある.硬化療法は炎症により嚢胞壁を癒着させることを目的とする.そのため注入後に発熱や疼痛を認めることが多く,確実性に欠ける.手術では導管とともに嚢胞を摘出する.正中頸嚢胞では,舌骨の一部と一緒に導管を含め摘出する.
Px処方例 下記を併用する.
2.下咽頭梨状陥凹瘻
第3または4鰓嚢遺残による.ほとんどは左側であるが,まれに右側にも発生するため注意
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