齲蝕や外傷,形成不全などにより実質欠損の生じた歯や形態異常歯に対して,各種歯科材料を用いて解剖学的な形態と機能の回復をはかるための処置である.
小児歯科においては,成長発育期の健全な歯列・咬合の確立のみならず,咀嚼機能,嚥下機能,構音機能など健全な口腔機能の獲得と審美性の回復を目的として高頻度で行われる.
乳歯列期においては,感染歯質の除去とともに口腔清掃指導を行い,口腔内環境を改善することにより永久歯の齲蝕罹患の危険性を低下させる意義を有する.
●治療方針
実質欠損の範囲に応じて歯の切削を行い,適切な材料を用いて歯の解剖学的形態を回復する.実質欠損を伴わない齲蝕による歯質脱灰(白斑)については,エナメル質の再石灰化を期待するため,歯冠修復処置の対象としない.MI(minimal intervention,最小の侵襲)の観点から,必要最小限の歯質の削除に留めることが必要である.
乳歯の場合