治療のポイント
・口腔習癖の処置に際しては,小児の心理的ストレスや個々の性格なども十分考慮するとともに,成長発育程度,心身の状態を検討し慎重に対応しなければならない.
●病態
A.吸指癖
・母指吸引癖が最も多い.胎児にみられることから吸指癖自体は生理的な行動と考えられるが,3歳以降まで吸指癖が残存していると,上顎前突,開咬,上顎前歯唇側傾斜,下顎前歯舌側傾斜,交叉咬合,歯列弓狭窄を引き起こすことがある.
B.咬爪癖
・3歳頃から始まる.精神的な緊張が原因とされている.開咬,叢生,正中離開を引き起こすことがある.
C.咬唇癖
・上口唇よりも下口唇を咬んだり吸引したりすることが多い.下口唇の咬唇癖により,開咬,上顎前突,上顎前歯唇側傾斜,下顎前歯舌側傾斜,口唇閉鎖不全を引き起こすことがある.
D.弄舌癖・舌突出癖
・通常ではありえない位置に舌を位置させる癖を弄舌癖という.弄舌癖のなかでも,嚥下時に舌尖を上下顎前歯