診療支援
治療

歯周疾患
periodontal disease
藤原 卓
(長崎大学小児歯科学・教授)

●病態

・歯周疾患は,口腔細菌によって歯面や歯周ポケットに産生されたバイオフィルムであるデンタルプラーク(dental plaque)が原因となる.

・軟組織の歯肉のみに炎症が限局した「歯肉炎(gingivitis)」と,歯を支持する歯槽骨の吸収と,歯と歯周組織間の付着が失われる(アタッチメントロス)がみられる「歯周炎(periodontitis)」に分類される.

・小児,特に乳歯列の歯肉は,歯の萌出や脱落といったさまざまな生理的変化を伴うため,細胞学的に非常に活発な状態にあり,そのため特殊な全身的背景がない場合は歯肉炎がほとんどで,歯槽骨吸収を伴う歯周炎は0.5%以下である.また小児では歯の萌出や身体成長に伴う変化による歯周疾患もみられる.

A.歯肉炎

・歯肉のみに限局した炎症.

・プラーク誘発性歯肉炎:デンタルプラークの刺激によって歯肉の発赤,腫脹,出血が起きる.小児の歯周疾患のほとんどを占める.

・萌出性歯肉炎:萌出途中の永久歯には歯肉弁が存在することが多く,デンタルプラークが溜まりやすく,歯みがきも不良となりがちで歯肉炎症が生ずる.

・思春期性歯肉炎:思春期の女子に多い.性ホルモン分泌と関連するが,デンタルプラークの蓄積により増悪化する.

B.歯周炎

・歯を支持する歯槽骨の吸収と,アタッチメントロスがみられる.

・侵襲性歯周炎:急速な症状の進行を特徴とする歯周炎で,第1大臼歯と切歯に症状がみられる限局型と,すべての歯に及ぶ広範型とがある.遺伝的背景や特定細菌との関連性が示唆されている.

・全身疾患,染色体異常あるいは遺伝性疾患に関連する歯周炎:全身疾患のある小児に重度の歯周炎がみられる.

 a)組織抵抗性が低下する疾患:Papillon-Lefevre症候群,Down症候群など

 b)免疫機能が低下する疾患:AIDS,好中球減少症,無カタラーゼ症など

C.その他の小児の歯周疾患

・歯肉退縮:咬合状

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