●病態
・成人と比べ小児の口臭はその発生頻度は圧倒的に低く,しかも本人の自覚よりも親が気にして来院するケースが多い.口臭は医学的には口臭症と称し,国際分類されている(表1図).このうち真性口臭症は,生理的口臭と病的口臭に分けられる.
・主要な口臭成分は揮発性窒素化合物(VSC:volatile sulfur compounds).硫化水素,メチルメルカプタン,ジメチルサルファイドの3種類である.
・生理的口臭は起床時に生じやすい.睡眠中は唾液分泌がほとんどないため,口腔内が乾燥しやすく口腔細菌が増殖しやすい.特に口呼吸の小児では著しい.舌の汚れ,すなわち舌苔も口臭の原因となる.
・口腔由来の病的口臭の原因には,主に齲蝕,歯肉炎,歯周炎など細菌性の主要な口腔疾患があげられる.口腔細菌が増殖し,歯垢や歯石が生成され,歯面にバイオフィルムとして付着するがこれも口臭の原因となる.
・扁桃部に生じる膿栓は細菌