小児における口腔疾患の代表は齲蝕である.歯周疾患は歯肉炎が主体である.小児において齲蝕の減少傾向が報告されているが,有病児の齲蝕罹患に関する調査では,健常児に比較して齲蝕が多い傾向にあることが報告されている.出生時あるいは早期から小児疾患への対応に追われ,十分な口腔清掃などの齲蝕予防に保護者が対応できないこと,薬の服用時を含めスポーツ飲料などの摂取が多いことなど,一般的な齲蝕予防の実施が困難な場合が多い.
歯科治療は,局所麻酔,歯の切削,修復操作などの治療侵襲が避けられないこと,さらに治療中の開口維持が必要であることなど,小児においてストレスの多い不快なものである.小児歯科では対象患児の精神発達レベルや協力度を考慮して対応している.一般的に3歳以上の健常児であれば,通常の歯科治療を受容することができ,治療による侵襲への特別な配慮は必要としない.しかし有病児においては,病院や治療に対する恐