診療支援
治療

訪問診療のポイントとマナー
高橋昭彦
(ひばりクリニック・院長(栃木))

 近年,小児の在宅医療のニーズが高まっている.人工呼吸器,痰の吸引,酸素吸入,経管栄養などが必要な「医療的ケア児」を連れて,病院の救急外来を受診するのは容易なことではない.親1人で連れていけるのか,きょうだいは誰がみるのか,入院になるのか帰宅するのか,バッテリーや酸素ボンベの残量はどうかなど心配は尽きない.

 もし,ここに在宅医療の仕組みがあれば,体調についてのタイムリーな相談と入院を必要としない程度の医療を行うことができる.子どもの暮らしに寄り添う医師は,その家庭にとって強力な味方となりうる.

A.訪問診療と往診

 居宅への医師の訪問には,訪問診療と往診がある.訪問診療は,毎週火曜日の午後に訪問するなど医師側で定期的に計画して行う.一方,熱が出た,呼吸状態がよくない,看取りのときなど,患家からの依頼に基づいて医師が出向くのが往診である.

 保険点数は訪問診療が888点(6歳未満の小児は400点の加算がある),往診は平日の昼間が720点.緊急,夜間,深夜などには相応の加算(在宅療養支援診療所かどうかなどにより点数が異なる)がある.その他に月ごとに算定できる在医総管があり,算定には24時間体制で往診と訪問看護を提供すること(連携可)などが条件となっている.

B.多職種連携の仕組み

 小児在宅医療を始めるにあたり,小児の経験のある訪問看護ステーションと組むことが肝心である.ファーストコールを訪問看護ステーションが担い,まず訪問看護師が出動し,連絡を受けて指示を出す,あるいは必要があれば医師が往診する.訪問薬剤管理指導を利用すれば,臨時の処方も調剤して薬剤師が患家へ届けることができる.

 ケアマネジャーに代わる存在として,障害者相談支援専門員と行政保健師がある.日中の預かりや短期入所を担う事業所も各地で増えている.しかし,子どもにかかわる人材も制度もまだ不足している.子どもと家族の暮らしを守る

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