診療支援
治療

在宅での栄養管理
田中総一郎
(あおぞら診療所ほっこり仙台・院長(宮城))

A.必要エネルギー量の目安

1.新生児・乳児

 新生児は120kcal/kg/日,乳児は100~120kcal/kg/日で必要カロリーを算出する.母乳は65kcal/100mL,人工乳は68kcal/100mLである.

2.幼児以降

 重症心身障害児の1日エネルギー所要量(kcal)=10/9×基礎代謝量×0.85×(1+生活活動指数)から算出し,実際には数か月の体重の増減,活気,肌つや,風邪のひきやすさなどから判断して増減する.生活活動指数は,寝たきり0.05,いざり移動0.13,ベッド坐位0.08,歩行可能0.18である.人工呼吸器依存や筋緊張低下では少なく,筋緊張亢進,アテトーゼ型脳性麻痺,努力性呼吸困難を伴う呼吸障害では多くする.

B.栄養剤のいろいろ

 母乳や人工乳から始まり,一般に離乳終了となる1歳半くらいで人工濃厚流動食に移行することが多い.

1.人工濃厚流動食

 薬として処方される薬品と食物として購入する食品に分類される.また窒素(蛋白質)の分解程度によって半消化態,消化態,成分栄養に分けられる.消化管機能が正常であれば半消化態を用いるが,吸収不良症候群や短腸症候群では消化態や成分栄養が用いられる.成分栄養では脂肪が全エネルギーの1~2%しか配合されていないので,長期投与の場合は経腸栄養に脂肪を加えるか,定期的に脂肪乳剤を経静脈的に補う必要がある.

2.微量元素などの欠乏症

表1) 各経腸栄養剤に含まれる微量元素とその含有量は異なるため,それぞれに含まれる成分と量を把握して適宜補充する必要がある.微量元素の補充には,テゾンやブイ・クレスなどの補助製剤の併用摂取を行う.ともに125mL入りで食品として購入する.セレンはマグロやカツオなどに多く含まれる.亜鉛はL-カルシノン亜鉛(プロマック顆粒;胃潰瘍薬)として投与する(乳児3mg/kg,幼児30~50mg/日,学童以降50~1

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