診療支援
治療

在宅での終末期の痛みの管理
余谷暢之
(国立成育医療研究センター総合診療部緩和ケア科・診療部長)

●病態

・痛みの原因により介入の際の薬剤選択が変わるため,原因検索は大変重要である.

・痛みはその病態により,侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に分けられる.

A.侵害受容性疼痛

・体性組織への機械的刺激が原因で発生する体性痛と,管腔臓器の炎症や閉塞,実質臓器の炎症や腫瘍による圧迫,臓器被膜の急激な伸展が原因で発生する内臓痛に分けられる.

・体性痛は局在が明瞭な持続痛が体動に伴って増悪する.骨転移の痛み,術後早期の創部痛,筋膜や筋骨格の炎症や攣縮に伴う痛みなどがある.

・内臓痛は深く絞られるような,押されるような痛みで局在が不明瞭.固形臓器(肝や腎など)の場合は被膜の急激な伸展,管腔臓器の場合は消化管内圧の上昇を起こすような圧迫や伸展,内腔狭窄が原因で痛みが発生する.

B.神経障害性疼痛

・末梢・中枢神経の直接的損傷に伴って発生する痛みである.障害された神経の支配領域にさまざまな痛みや感覚異常が発生する.

●治療方針

 痛みの原因によって治療法は異なる.

A.体性痛

 アセトアミノフェン,NSAIDsといった非オピオイド鎮痛薬が第1選択になる.オピオイド鎮痛薬も選択肢になる.体動時の痛みの増強に対してレスキューを使用することが重要になる.

B.内臓痛

 非オピオイド鎮痛薬,オピオイド鎮痛薬いずれも選択肢になるが,オピオイド鎮痛薬が効きやすい痛みである.小児においては固形腫瘍が少ないため成人と比較して頻度は高くない.

C.神経障害性疼痛

 非オピオイド鎮痛薬,オピオイド鎮痛薬いずれも選択肢になる.特にがんに伴う痛みの場合はオピオイド鎮痛薬をまず使用し,効果が乏しい場合に鎮痛補助薬の併用も考慮する.

Px処方例 下記の薬剤を症状に応じて用いる.

 (非オピオイド鎮痛薬)持続的な痛みがある場合は下記➊~➌の薬剤の定期投与を検討する.

➊カロナール錠・散 1回15mg/kg 1日4回

➋アンヒバ坐薬 1回15mg/kg 

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