●病態
・虚偽であるがもっともらしい劇的な病歴を訴えて多数の病院を受診したり,必要のない医学的精査,手術,治療を繰り返す患者を1951年Asherがミュンヒハウゼン(ほら吹き男爵)症候群と名づけた.1977年Medowが,養育者の虚偽によって子どもに病的な状態が作り出され,不必要な検査や治療が繰り返される状態を代理ミュンヒハウゼン症候群と名づけ,「虐待の奥地」と表現した.
・子どもが呈する症状は無呼吸,けいれん,出血(血尿,吐血),中枢神経機能障害,下痢,などが多く多彩である.持続的や反復する病状で,医学的に説明が困難であることが少なくない.一見健康そうな子どもの状態と,訴えられる危機的な症状や重篤な検査結果を伴う病歴の不一致がみられることで疑われることもある.何もないのにけいれんを起こしたといって受診する模倣の形や,下剤を投与して難治性下痢を作り出すなどの捏造の形があるが,両方を伴うことも少