〔治療の基本方針〕
1)慢性胃炎は病因・病態に不明な点が多く,診断・治療法も確立していない.本項では,日常診療でいわゆる慢性胃炎と診断される症候群につき述べる
2)胃粘膜の形態変化と胃運動機能の両面からの解釈がなされているが,必ずしも自覚症状との相関をみない
3)精神的要素も無視できない例が少なくない
4)病態を考察し,それに応じた治療法の選択が必要である
5)誘因を発見し,取り除く必要がある.
〔臨床分類〕
1)胃粘膜病変が明らかな慢性胃炎(びらん性胃炎,表層性胃炎,萎縮性胃炎)
2)胃排出能異常が顕著な慢性胃炎
3)精神的要素の関与が多い慢性胃炎
4)H. pylori陽性の慢性胃炎
〔重症度〕
A.軽症:軽度の慢性上腹部症状があるが,日常生活に支障をきたさない.
B.中等症:慢性上腹部症状のため,日常生活が干渉される.
C.重症:高度の慢性上腹部症状のため,社会生活が不可能となる.
〔治療目標〕
1)自覚症状の改善