〔治療の基本方針〕
1)急性肝不全は予後不良であり,基礎肝疾患の治療に全力を尽くす
2)慢性肝不全に伴う脳症では増悪因子があることが多い(向精神薬,利尿薬,便秘,脱水,電解質異常,感染,消化管出血,高蛋白食など).その発見と治療を優先させる
3)肝性脳症に対する特異的な薬物治療はむしろ補助的と考える.
〔臨床分類〕
1)急性肝不全(劇症肝炎,亜急性肝炎)
2)慢性肝不全(重症非代償性肝硬変症)
3)著明な側副血行路を有する肝硬変症
〔重症度〕
昏睡度Ⅰ:ごくわずかの精神・神経異常
昏睡度Ⅱ:指南力低下,錯乱,行動異常,羽ばたき振戦
昏睡度Ⅲ:興奮,せん妄,傾眠状態,羽ばたき振戦
昏睡度Ⅳ:昏睡(痛み刺激に反応)
昏睡度Ⅴ:昏睡(痛み刺激に無反応)
〔治療の目標〕
1)精神・神経異常の改善
2)原因となる病態の改善
3)基礎肝疾患の安定化
〔効果判定の指標〕
1)神経学的所見(意識レベル,羽ばたき振戦)
2)肝機能検査,血清アンモ