〔治療の基本方針〕
1)鉄剤による鉄の補給とともに,鉄欠乏の原因を明らかにして,その治療を行うことが重要である
2)鉄の補給のための鉄剤投与は経口が原則である.静注投与の適応は,ⅰ)経口鉄剤の副作用が強く内服困難またはコンプライアンス不良,ⅱ)経口鉄剤の内服で増悪する疾患がある(潰瘍性大腸炎など),ⅲ)鉄の吸収不良(吸収不全症候群),ⅳ)出血量が多く経口鉄剤では鉄の補充が間に合わない,ⅴ)自己血輸血で大量瀉血をする,ⅵ)透析である.
〔臨床分類〕
鉄欠乏性貧血の原因は,1)供給の低下:食事鉄の不足(偏食),鉄吸収障害(萎縮性胃炎,胃切除後,吸収不全症候群など),2)需要の増大:急速な発育(新生児期・思春期),妊娠,3)喪失の増大:消化管出血(消化性潰瘍,胃癌,大腸癌,食道静脈瘤,痔など),寄生虫(十二指腸虫症),過多月経(子宮筋腫,子宮内膜症),献血(400mLの献血で鉄200mgの損失),その