〔治療の基本方針〕
1)原因腫瘍の治療が優先されるが,多飲,多尿,脱水,腎機能低下,嘔気,食思不振,傾眠,昏睡など,高Ca血症による症候を伴う場合は,治療が必要である.
2)Ca補給薬,活性型ビタミンD製剤,遠位尿細管でのCa再吸収を促進するサイアザイド系利尿薬など,血清Ca値上昇作用のある薬物は中止する.
3)本症は骨溶解が主因であり,また脱水が悪循環形成の基盤にあるので,両者が治療の主要標的である.
4)Ca再吸収は,脱水による近位尿細管でのNa・水の再吸収を介して促進され,Na負荷により抑制される.脱水を補正しつつNaを負荷する目的で,十分量の生食液を補液する.また,体液量をモニターし,過剰負荷に注意する.
5)生食液により,体液量の過剰や心不全をきたした場合にはループ利尿薬を適切に用いる.ループ利尿薬はヘンレ上行脚での塩素イオン輸送の抑制により,電位差依存性Ca再吸収を抑制して,尿中へのCa
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