〔概要〕
TIAは従来「脳虚血による局所神経症状が出現するが,24時間以内に消失し,頭部CTにて責任病巣に一致する器質性病変が認められないもの」とされてきたが,脳MRIの拡散強調画像(DWI)では高信号域を認めるものもあり,その本態は症状回復性の脳梗塞である.再発傾向が強く,完成型脳梗塞の前駆症状である場合が少なくない.したがって,TIAは脳梗塞への進展を予防する好機であり,積極的な治療が必要である.このような背景から,TIAと脳梗塞を総称して,ACVS(acute cerebrovascular syndrome)と呼ぶようになっている.発症機序は多彩であり,頭蓋外の内頸動脈などの太い血管の病変(血栓,狭窄,閉塞など),動脈-動脈塞栓,心原性塞栓,脳内の小動脈の血栓,血行力学的異常などが含まれ,発症機序によって治療方針が異なる.
〔治療の基本方針〕
TIAの症状は,内頸動脈系では,一過性黒