1はじめに
医療事故の分析を行う公益財団法人日本医療機能評価機構が発刊する近年の年報では,医療事故情報収集等事業において医療機関で起こった医療事故事例の約8%に,ヒヤリ・ハット事例の約35%に薬剤が関与している.また,薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業において薬局で起こった調剤に関するヒヤリ・ハット事例が18.8%,疑義照会や処方医への情報提供に関する事例が81.1%と,後者の割合が年々増加している.そのため,特に安全管理が必要な医薬品(以下,ハイリスク薬)などに関する医療安全管理体制の充実・強化がますます重要になっている.ハイリスク薬が投薬されている患者に対しては,外来や入院を問わず,患者の病態や服薬状況を把握したうえで,副作用の早期発見・重篤化防止のための継続的な服薬指導や薬物療法モニタリングを行うことが重要である.2014年,ある大学病院で人工呼吸中の小児患者への投与が禁止されてい