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臨床整形外科 61巻1号 (2026年1月発行)

特集 下垂足を極める—病態理解から治療戦略まで

印刷版発行年月:2026年1月
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特集 下垂足を極める—病態理解から治療戦略まで

緒言

61巻1号 , 2026年1月 , pp.5
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 筋力の低下により足関節の背屈が困難となる下垂足は,形態上の問題だけではなく,歩きづらい,転びやすい,捻挫をしやすいなど,足関節周囲の機能障害にも通じ,整形外科の外来を受診される代表的臨床症状の1つである.下垂足例に遭遇すると,まず原因として腓骨頭での圧迫に伴う腓骨神経麻痺を疑うのが通例であろう.しかし原因はそれだけではなく,より上位での末梢神経障害,脊髄障害,筋断裂,脳神経内科疾患等で生じている可能性もあり,有効な治療を行うためには,下垂足という症状の背景にあるさまざまな疾患を鑑別する力が必要となる.本特集では,読者の方々に下垂足の診断・治療についてより広く深く理解していただくための一助となるよう,各分野で活躍されている先生方に解説をお願いした.

 まず下垂足の診断と治療の基本的プロセスについて竹島憲一郎先生に述べていただき,次に原因となる各疾患については,脊椎疾患に関して磯貝宜広先生に,膝関節手術後に生じた総腓骨神経麻痺に関して中川裕介先生に,前脛骨筋腱断裂に関して及川龍之介先生に,ご自身の診療経験を交えて述べていただいた.また神経損傷の高位,損傷の程度と回復度合いを知るうえで有用な筋電図検査について高橋秀寿先生に述べていただき,後半では治療法について,リハビリテーション科の立場から髙橋宣成先生に,末梢神経外科の立場から木村洋朗先生に,足の外科の立場から安井洋一先生に,下垂足で失われた機能の再建まで含めて執筆いただいた.

総論
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下垂足は,足関節の背屈力低下により,歩行効率の低下と転倒リスクの増大を来す病態である.原因は総腓骨神経障害が最多だが,L4-L5神経根障害,中枢性疾患,筋・神経筋疾患も重要な鑑別対象となる.診療の初期段階では,問診と診察から末梢性・神経根性・中枢性のいずれに該当するかを大まかに判断する.次に,徒手筋力テスト(MMT)を基本とし,神経伝導検査(NCS)や筋電図(EMG)で神経損傷の程度と再生可能性を評価する.画像検査は,腰椎や膝関節周囲のMRI,腓骨頭部の超音波検査(US)が有用である.治療は,まず短下肢装具(AFO)を用いたリハビリテーションを基本とする.発症後約3カ月で電気生理学的に再評価し,6〜9カ月で十分な改善が得られなければ外科的介入を検討する.神経再生が期待できない慢性例に対しては,後脛骨筋腱移行術(TPT)が歩行機能再建の有力な選択肢となる.

診断
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下垂足の原因として脊椎疾患は非常に重要である.腰椎のL5神経根障害と頚胸椎の脊髄障害のいずれでも生じる可能性があり,また変性疾患,悪性疾患,外傷,医原性などさまざまな病態が存在する.手術介入は強力なツールであるが,神経予後予測や手術介入のタイミングについては個々の病態に応じて異なる点も多い.またリハビリテーション,装具療法をはじめ多彩な治療介入の手段も活用することが重要である.

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