
B5判・208頁
2025年6月
定価:8,800円
(本体8,000円+税10%)
ISBN978-4-260-06025-7
医学書院刊
本書は,JSETS(Japan Severe Extremity TraumaSymposium;日本重度四肢外傷シンポジウム)で長年にわたり提示・議論されてきた知見に対して,次世代の医師たちが臨床現場から真摯に応答した「手紙」である.現在の外傷治療のスタンダードが,数多くの試行錯誤や,時に悔いの残る不遇な転帰を経て築かれてきたことを,改めて思い起こさせてくれる.
取り上げられている症例には,過去の経験を否定することなく,それに甘んじることもせず,未来をより良いものにしたいという意志がにじむ.限られた資源や時間の中で,いかにして患者にとって最善の選択を届けるかという,臨床医としての葛藤と挑戦が誠実に描かれている.
「今の若い医師は……」と語られることもあるが,本書を読めば,そのような見方が表層的であることがわかる.「このままではいけない」「よりよくしたい」という思いこそが,著者らのJ-SWATセミナーの継続と本書の出版へと結び付いたのであろう.
本書の特徴は,机上では得られない,体験した“実践”の気付きが詰まっていることにある.成功例だけでなく,苦渋の選択や迷いといったリアルな臨床経験も率直に語られており,それが「実践」の本質を読者に伝えている.
外傷治療は,実際に現場で手を動かし,判断し,結果を引き受けることで初めてその入口に立つことができる.本書は,誤りを含む実践と,間違いのない実践の双方を赤裸々に提示しており,救急の最前線で奮闘する全ての若手臨床医にとって,確かな道しるべとなる一冊である.