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臨床整形外科 60巻12号 (2025年12月発行)
書評
重度四肢外傷 ケースで学ぶ実践ハンドブック—現場で役立つマスターガイド 閲覧可
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善家 雄吉 1
1産業医科大学病院外傷再建センター
pp.1383 , 発行年月 2025年12月

B5判・208頁
2025年6月
定価:8,800円
(本体8,000円+税10%)
ISBN978-4-260-06025-7
医学書院刊

 重度四肢外傷は,診療科や施設の枠を超えて,多くの医療従事者にとって臨床的にも教育的にも挑戦となる現場である.その対応は時として,生命と四肢の存続という極めて重い判断を伴い,その臨床現場には高度な知識と状況判断,さらには迅速なチーム連携が求められる.本書『重度四肢外傷ケースで学ぶ実践ハンドブック』は,そうした現実に立ち向かう術を,まさに「現場から生まれ,現場で磨かれた知」として体系的にとてもわかりやすく提示してくれた貴重な1冊である.
 本書はJ-SWAT(Japanese Severe Extremity Trauma & Wound Management Activate Team)の若手・中堅医師たちによる長年の実践と蓄積,そして全国各地でのセミナー活動の成果として結実した.第1章では重度四肢外傷の評価・初期対応・固定・軟部組織管理といった基本が網羅されており,診療アルゴリズムや動画による視覚的補助を交えることで,読者が具体的な行動に直結できるよう構成されている.
 一方,第2章の「症例から学ぶ」では,臨床現場の“リアル”が生き生きと描かれる.各症例の見出しからして「デブリちゃんとしないで髄内釘?」「CTでいったん描出されるが消失するパターン」など,軽妙な語り口の中に,医療者として「あるある」と共感せざるを得ない緊迫感がにじむ.読者にとっては,知識の習得と同時に,実践的な“気付き”を得る絶好の素材であり,伝え方として,若手臨床家にはとても響く内容と感じられる.
 本書を通して一貫して感じられるのは,「重度四肢外傷の予後は,外傷医の力と初療医の力の2つのファクターで決まる」という,わが産業医大名誉教授鈴木勝己先生の言葉が,全体の哲学として深く根を張っているということだ.この理念が明確であるからこそ,本書の構成や執筆のトーンがブレることなく,現場で戦う臨床医にとって実用性の高い指南書として成立している.
 重度四肢外傷に限らず,外傷診療の入り口に立つ若手医師にとって,本書は「何を」「どの順で」「どこまで」行うかの羅針盤となるだろう.また,ある程度の経験を有する医師にとっても,体系的に自らの診療を見直す機会となり得る.本書は単なるマニュアルではなく,日々進化するチーム医療・外傷医療の“現在地”を映す鏡であり,未来への指針でもある.
 最後に,今を時めくJ-SWAT著者陣が,実地経験と科学的知見の融合をもってこれほどまでに臨床的価値の高い書籍を編まれたことに,深い敬意を表したい.彼らが次世代の外傷医療を担う存在であることは間違いなく,そして本書が全国各地の現場において「TeamJAPAN」の輪を広げる一助となることを,心より期待している.

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